就職活動を無事に乗り切って希望の企業に入社したものの、想像もしなかった部署に配属されて困惑している、こういった事例は少なくありません。
同期は会社の花形ともいえる部署に配属され、その一方で自分は遠くの支社に飛ばされる。
こんなことが発生すると、『俺は期待されていないんじゃないか?』そんな風にも思ってしまいます。
実際にマイナビやキャリタスなどリクルート系のサイトによる新入社員の配属先アンケートでも、50%近くの人が希望の部署には配属されなかったと答えています。
その希望の部署への配属は何が理由なのでしょうか。また、その配属は拒否できるのでしょうか。
少し視点を変えて配属された人事の意味や、その部署で仕事をするのが嫌な理由などを整理すれば、そこから希望が見つかるかもしれません。
今回は新卒入社時の配属や、嫌な部署に配属された場合の対応策について記載します。
Contents
配属先が嫌だ!その理由は?
まずは、配属された部署が嫌と感じる理由についてです。
『嫌だ』と感じてしまうと、すべてが嫌になってしまいがち。
なので、具体的に言語化して今いる部署が嫌な理由を明確にしてみましょう。
というのは、『嫌だ』というその感情のままに異動・転職・退職というアクションを起こしてしまうと、『逃げ腰』がついてしまったり後で後悔することになる可能性があります。
なので、まずは嫌な理由について言語化してみましょう。
配属先が嫌な理由まとめ
一般的にはこのような理由から配属先が嫌だと感じている人がいます。
- これまで経験したことのない仕事だった
- 仕事の内容がとてもハードだ
- 仕事の内容がつまらない
- 会社全体としてイメージの悪い部署だ
- 部署の雰囲気がひどい
- 遠い支社に配属された。引っ越しが厳しい。
ざっくりと分類すると、『仕事内容』『部署のイメージ』『物理的環境』といった要因によって分けられるようですね。
仕事内容
これは『経験したことのない仕事』『仕事内容がハード』『仕事の内容がつまらない』に当てはまります。
これは実際配属されてみて、仕事内容を知った時に自分の想像を上回る仕事であったことから、対処できず、嫌になってしまうというケースですね。
部署のイメージ
これは『会社全体としてイメージの悪い部署』ということからですね。
新卒であれキャリアであれ、配属が決まるまでは嫌でも部署の噂は耳に入ってきます。
そのため、悪いウワサが流れる部署に関してはたとえまだ配属されていなかったとしても嫌なイメージが付きますよね。
そのイメージが先行してしまい、自分のいる部署に嫌なイメージを持ってしまいます。
仕事環境が悪い
これは『遠い部署』に配属された場合等です。物理的に配属された部署が遠いことや、部署でいじめが発生するなどといった理由もあります。
配属先が嫌なことは人間関係が原因?
配属先が嫌になる理由は様々。しかし、嫌である理由は仕事をこなしてくことで薄れていくものです。
どのような配属先であっても仕事の経験を積んでいけば、仕事を理解し、顧客を理解し、プロジェクトでの自分の役割を理解していくので『嫌』という感覚は薄れていくはずです。
なので、”仕事が嫌”という感情を持った場合は主に2つの理由があります。
一つは、まだ仕事に対して未熟であるため、活躍できていないこと。
もう一つは、職場の人間関係が嫌であることです。離職の原因のほとんどは、『仕事が嫌』なのではなく『人間関係が嫌』という理由です。
部署への配属の基準
企業によって様々ですが、社員の配属はそれまでの仕事やイメージを把握したうえで、人事部によって決定されます。
もちろん社員の育成や評価は所属部署の管理職や上長の業務ではあるのですが、全てを各部署に任せると会社内が縦割りになってしまい相対的な育成や評価ができません。
そのため人事部は各部署の管理者から情報を集約して、会社全体としての人員の育成や評価など相対的に社員の管理を行っているのです。
そして人事部はこれらの情報をもとに、社員の配属や昇進、報酬などを決定します。
新卒の場合は判断基準は採用面接やグループディスカッションなどによって、その人の適性や性格などが見られています。
そのため、どの部署に配属されるかについては、面接の段階から検討されているとみて間違いないでしょう。
配属先が決定した意味を考えてみよう
では、部署に配属された理由について考えてみましょう。
配属先が発表されると一喜一憂するかと思いますが、その部署に配属されたのには人事部の意図があります。
その主な理由は『スキルアップ』と『キャリア形成』によるものとなります。
スキルアップ
まずスキルアップについては、採用面接やこれまでの仕事を考慮したうえで、この社員には何が長けているか、何が足りていないかを判断します。
長けている部分をより伸ばすという選択肢もあるでしょうが、一般的なサラリーマンでは新卒で入社した場合は専門性よりも足りていない部分を補うといった場合の方が多いでしょう。
そのため、簡単に言えば『苦手克服』の意味を含めて配属される場合が多いのではないかと感じます。
キャリア形成
次に配属決定の要因としてキャリア形成があります。
人事は将来的にどのようなキャリアを踏んで成長させようか、『キャリアプラン』を考慮したうえで、配属を決定します。
このような経験をして将来的にこうなってほしいということは、実は採用面接時から検討されているのです。
キャリア途中で部署の異動が命じられた場合には、それは既存の部署で学ぶべき能力が得られたと考えても良いでしょう。
部署配属の決定には意図がある
どのような能力に長けていて、どのようなスキルが足りていないか、そして、それを踏まえたうえで、どのようなキャリアを形成していってほしいか。
そういったスキルアップやキャリアプランを考慮されたうえで、部署に配属されます。
先ほどの配属先が嫌だという理由には以下がありました。
- これまで経験したことのない仕事だった
- 仕事の内容がとてもハードだ
- 仕事の内容が詰まらない
これらは人事部が考える社員の弱点を克服する試練と言えるでしょう。
これらの事は、言い換えると
- 新しい経験をさせ、経験値を積むこと
- ハードな部署に配属させ、自分のキャパシティを広げること
- コツコツとした地道な作業にも柔軟に対応できること
といった意図が想像できます。
苦手なことをさせたり、体力的に大変な部署に配属させることは『嫌がらせ』や『期待されていない』といった考え方でとらえるのは間違っています。
企業の採用面接には想像できないような金額が使われています。
そのため、採用され配属が決定されるまでに『期待されない』のように扱われることはありません。
大人の事情もあり
と、ここまでポジティブな見方をしてきましたが、大企業では『大人の事情』があることも事実です。
というのは、たまたま特定の部署の社員が退職したといった理由で欠員が出た場合、そこに配属させようといった事実もあります。
これは会社としての構造上、そんな事情も生まれてくるでしょうね。
他にも部署と相性の良さそうな人のみを優先的に決定し、残りは欠員が出ているところに割り振る場合もあります。
”その中で育つ人は上手く育つし、少し違うなと思ったら異動させる”…といった『獅子の子落とし』のような考え方の企業もあるようですね。
しかし、その時にもあからさまにその部署に合っていない場合は配属されません。
例えば配属されて嫌なことがあると辞めてしまいそうな人も中に入るでしょう。
そのような人の場合はできるだけ面倒見の良い部署に配属されることが多いです。
会社としてもお金をかけて採用した社員にすぐにやめてほしくありません。
ある程度、イメージや適性を見て配属されていると考えましょう。
配属先の部署が嫌!対処法まとめ

では、配属先には人事部なりの意図があるということを理解したうえで、配属先が嫌な部署になった場合の対処法について記載していきます。主に以下のようなアクションを起こしてみましょう。
- 異動のタイミングまで待つ
- 上司に相談する
- スキルアップ・キャリアップのためと考えて前向きに考える
- キャリアを再構築する
具体的に紹介していきます。
異動のタイミングまで待ってみる
選択肢の1つとして次の異動のタイミングまで待つことです。
ただし待っていても希望の部署へ異動できる保証はありませんし、異動のタイミングも会社によってさまざまです。数年単位で異動する人もいれば、10年以上同じ部署で働くこともあります。
次の異動に期待するのであれば、嫌な部署でも『耐える』ことを理解したうえで臨みましょう。
会社の人に相談してみる
どんな会社でも人気の集まる部署もあれば、希望者の少ない部署もあります。人事部はそれを理解したうえで配属を決定しています。
そのため、人事部を納得させられる理由がなければ、部署を変わりたいという希望は難しいでしょう。
必ず希望する部署へ異動したい理由を明確にし、言語化してみましょう。その部署に入りたい理由や、入った後にどんな仕事ができるのか、具体的なビジョンを示しあなたの熱意を常に抱いておくことです。
この熱意をアピールすることです。そうすれば異動の可能性も少しは浮上するかもしれません。
スキルアップ・キャリアップのためと前向きに考える
配属先が嫌だと感じる場合には、無理やりにでも自分の考え方をスキルアップのため・キャリアアップのためだと思うようにしましょう。
『やりたくない…』と苦手なことを嫌がるか、正面から受け止めるかによって数年後の成長度は大きく異なります。
まずは自分自身と向き合い、配属先が嫌な理由を抽出。そこから改善すべき項目を決めて、期限(いつまでに)とその目標値(どれくらい)を決め、取り組んでいきましょう。
期限と目標値を決めて定量的に仕事に臨みましょう。
逃げ癖を克服する
配属先が嫌だというのは、単純な”逃げ癖”もあります。苦手なことはやりたくないという思いが先に出てしまっているんですね。
その場合には、嫌だと感じていることは正しいことであり、その部署で働くことは人事が用意した試練です。
逃げ癖によって”嫌だ”となっているなら、それはどの部署や会社に行っても同じことが起こりうるのです。
自分の弱点が分かったとを前向きにとらえ、それを改善するように努めることも大切です。
キャリアを再構築する
これは自分の考えていたキャリアプランとは相反する部署に配属されたパターンです。つまりは、自分が考えていたイメージと会社が自分に考えていたイメージが真逆の場合。
自分の求める姿がエンジニアだと思っていたのに、企業としては営業職のプランを考えていた場合等がこれに当てはまりますね。
もしそれが配属発表によって分かった場合は、自らイメージするキャリアプランを再構築する必要があります。
もちろん会社としても最低限社員の意見や希望は聞いてもらえるでしょう。しかし、100%適応されるわけではありません。キャリアプランのコントロールは難しいです。
そのため、もしその会社で働き続けるつもりなら、自分のキャリアプランのイメージを会社が求めるイメージに近づけていきましょう。
もう一度、配属先が嫌だと感じた場合の対処法についてまとめておきます。
- 異動のタイミングまで待つ
- 上司に相談する
- スキルアップ・キャリアップのためと考えて前向きに考える
- キャリアを再構築する
配属先が嫌な場合は拒否できる?

結論を言ってしまうと、配属先の拒否や変更を申し立てをしても、会社に認められる事はまずありません。
前提としてほとんどの企業が、就業規則で人事を業務命令と位置づけています。
つまり、配属を拒否する事は、就業規則違反に値します。あまりにも頑なに従わない場合は解雇になる可能性もあります。
これは”辞令”であっても”内辞”であっても同じことです。
また人員の配置は、事業目標を達成するために、会社全体の最適化を目指して各部署に人員を配置するものですよね。
そのために人事部が各部署の状況や新入社員の適性をもとに綿密に判断し、会社上層部の了承を得て決定されています。
こういった会社中枢における重要な決定が、新入社員一人の個人的な都合で覆るとはまず考えられません。
ただし一部の特別な理由がある場合には、このような人事異動を拒否できる場合があります。
- 入社時の契約と著しく異なる
- やむをえない事情がある場合
- 会社側の職権乱用
等が確認された場合は、配属を拒否することも可能です。
いずれにせよ、配属を拒否するということは、その会社を辞めるくらいの考えを持ったうえで行う必要があります。
配属が納得できないために退職することは可能です。
会社側も退職を拒否することはできません。
どうしても嫌な部署の場合
どうしても嫌な部署であり、ポジティブな考え方が難しい場合には転職を考えるのも一つの手段です。
例えば、以下のような場合です。
- キャリアアップ等とは関係ないくらい、自分の限界を超えた仕事をさせる
- 自分のキャリアプランが完全に崩れてしまって、明らかに数年間を無駄にしてしまう
- 体調面でまともな仕事や生活ができなくなるような事態が発生した場合
サラリーマンは会社で働いている以上、雇われているという事実には変わりはありません。
中にはブラック企業も存在し、何年も消耗するまで働かされる場合もあります。
どの部署で働くかは、会社選びと同じくらいあなたの人生や生活に影響しますよね。
いつ異動できるのか、また希望の部署に配属されるのかもわからないまま、何年もすぎてしまうと、イメージするキャリアプランやスキルを身に着けることができないまま、20代や30代を終えてしまう可能性はあります。
望んだスキルアップができず、目立った実績もあげられないまま社会人経験だけが長くなると、あなたの市場価値を下げるだけです。
現在は第二新卒と呼ばれる世代の需要も高く、求人数が多い社会状況です。
この状況で転職の選択肢を取ることは一つの手段でしょう。
第二新卒と呼ばれる世代の需要も高く理由は以下となります。
- ビジネスマナーなど社会人の基礎的なスキルをすでに身につけている
- 柔軟性が高いため企業の望む人材に育成しやすい
- 新卒と違い内定から入社までの期間が短くて済む
このように第二新卒は、社会人経験がありながら状況の変化にも柔軟に対応できることから、これまで新卒の採用に頼ってきた大手企業でも、第二新卒の採用に積極的になっています。
配属された部署が合わない、自分でできる事はやってみたが解決するのが難しいというのなら、転職活動をはじめてみましょう。
転職サイトや転職エージェントの登録は無料
転職サイトやエージェントへの登録は、基本的に無料です。自分が働きたい職種を登録しておくだけで、お勧めの企業が定期的にメールで送られてきます。
登録も5分程度なので、会社で仕事を続けながら負担なく転職の情報を得ることができます。
会社に残るべきか、転職した方が良いのかを冷静に判断するためにも、転職情報やコンサルタントのアドバイスは、客観的な判断材料になります。
まずは登録だけでもしてみてはどうでしょうか。
まとめ
配属先が嫌だというのは誰にでも起こりうることです。
同期が花形ともいえる部署に配属されて、自分は遠くの場所に飛ばされるということは普通にあり得ること。
その配属になったことには、理由があるのでしょうが、それでも納得できない気持ちも十分に分かります。
最近では転職に悪いイメージはありません。人生のうちに数回転職を経験される人もいます。
配属先に納得できないのであれば思い切って転職してみてください。
悩んでいる時間がイチバンもったいないと思います。
まずはやってみること、視野を広げることが大切です。