終身雇用制度は崩壊したと言われて何年もたちますが、いまだに転職をネガティブに捉える職場はたくさんあります。
「根性がない」「我慢が足らない」「無責任」「裏切り者」などそんな批判を感じる会社もあるのではないでしょうか。
でも転職って悪いことではないはずです。
転職がネガティブにいわれるのは、実は会社の都合なんです。
世の中には転職してしわあせになったと感じている人がたくさんいます。
今回は実際に転職した人の割合、ネガティブに言われる理由、転職を決断できない心理などを考察していきます。
気になる方はぜひ最後まで読んでください。
転職が悪い事でないとわかれば、きっとあなたの気持ちにも変化があるはずですよ。
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仕事を辞める人の割合は?
実際、世の中に転職者はどれくらいいるのでしょう?
総務省の発表によると
- 2016年 4.8%
- 2017年 4.8%
- 2018年 4.9%
近年はゆるやかに増え続けていて、この3年は約5%、つまり20人に1人という感じです。
思ったより少ないと感じる方が多いかもしれませんね。
ただ年代別で見ると
- 15才〜24才 11.3%
- 25才〜34才 7.0%
- 35才〜44才 4.5% (45才以降は4%前後で横並び)
となっています。
34才までの転職率が10人に1人くらいで平均よりかなり高いことがわかります。
またこれは1年間の数字なので、転職者は年々増えていきます。
2回3回と転職をする人もいるので単純に足すことはできませんが、それでも5年10年と長いスパンで考えると20人に1人、10人に1人という割合よりは、はるかに多くなっていきますね。
それでは年代ごとの転職回数はどうなっているのでしょう?
リクナビNEXTが公開しているデータによると
出典:出典リクナビNEXT
このグラフから
- 20代 4人に1人
- 30代 2人に1人
- 40代 5人に3人
- 50代 3人に2人
ということがわかります。
50代を見ると転職経験がないのは34%です。
50代までずっと同じ会社で働き続ける人は3人に1人ということですね。
そして30代から50代に向かって転職回数なしの人が減り続けますが、1〜3回の人の割合はあまり変わりません。
その分4回以上の人が増えています。
このことから30代から50代では初めて転職する人と同じくらい、2〜4回目の転職をする人がいるという事です。
まとめると
- 34才までに転職する人は他の世代の2倍近い。
- 30代では2人に1人は転職を経験している。
- 50代でまで同じ会社で働き続けるのは3人に1人。
- 30代から50代の間でも2〜4回目の転職をする人が一定数いる。
あらめて数字を見ると、転職が珍しいものではないと感じますね。
30代から50代でも2回目、3回目の転職をする人がいるもわかります。
転職は悪?会社が転職を逃げだとする理由は?
初心貫徹という言葉があるように、一度決めた事は最後までやり通すのが正しいと考える人は多いと思います。
でも仕事について考えると、最後までと言っても何十年も続けるものですし、仕事を続けるうちに会社をやめたくなったり、別の仕事をやりたくなるのは自然な感情ですね。
転職を悪い事、逃げという人がいますが、感情を押し殺してまで働き続けるものなのでしょうか?
周りの目を気にする日本人の性質
会社が長期間働き続けることを社員に求め、退職をネガティブに捉えるのには理由があります。
会社は戦力になる人材を育てるために、社会人のマナーからスキルやノウハウ、人脈作りなど時間と労力を費やします。
そうやって育てて成果を上げている人材が退職するのは、会社にとって損失になりますよね。
つまり退職がネガティブにいわれる理由は、社員が退職すると困るという会社側の都合なんです。
上層部や管理職にこういう考え方が強いと、職場の雰囲気に影響しますよね。
長く働き続けるのが当たり前みたいな職場になってしまいますよね。
それが社員に転職をネガティブに感じさせる原因とも考えられます。
日本人は孤独を怖がり、周りに同調することを良い事と考える人が多いです。
個性を尊重し、個々が主張することを良い事とする外国とは反対ですね。
日本は高文脈文化といわれます。
これは相手の心情を推測しながらコミュニケーションとるということです。
簡単に言うと「空気を読む」悪い言い方をすると「顔色をうかがう」とも言えますね。
電話のやりとりを例にすると
「○○さんはいらっしゃいますか?」「すぐにつなぎますので、お待ちください。」
という会話は普通です。でも英語では
「○○さんと話したいのですが、話せますか?」
という風にもっと具体的な表現で相手に伝えます。
日本人は「いらっしゃいますか?」という言葉に「話がしたい」のだろうと推測するのです。
日本語の文法にもその特徴があります。
すぐに結論が出てくる英語と違って、日本語は最後まで結論がわかりませんよね。
相手の気持ちを推測する習慣があるので、話の途中で結論を先読みする人が多いと思います。
この事で思わぬ誤解が生まれるたりしますよね。
また会話中に相手の主張に話を合わせたり、意見を引っ込る事など誰でもあるのではないでしょうか。
日本人は民族的に周りの人の考えが気になる性質だという事です。
この性質から周りの意見に左右されて、必要以上に転職は悪だ、逃げだと思い込んでいる可能性もあります。
転職は「逃げ」ではありません。
自分の人生を「前に進める」行動です。
相手の気持ちを考えるのは大切ですが、自分の気持ちに素直に向き合うのはもっと大切なことではないでしょうか?
「転職は悪」と言っている会社、でも現実は転職者に支えられている?
どんな会社でも退職者はいます。
前の章で取り上げたように30代で2人に1人、50代では3人に2人が転職していますから、何年も退職者のいない会社などないわけです。
では退職者が出たら、どうやって欠員を補うのでしょう。
いくら新卒の社員を多く採用しても、何年も仕事を任されていた社員の穴は埋まりませんよね。
そのためには転職者を中途採用するしかないのです。
会社によって差はあるにせよ、ほとんどの会社は転職者の力で成り立っていると言えます。
経営陣や管理職もその事はよくわかっているのに、転職を悪いと言ったり、逃げと言うのには矛盾があります。
結局はダブルスタンダードでしかなく、自分たちの都合に合わせた主張を押し付けているだけなのです。
転職に積極的になれない理由は批判から「うまくいかない」
転職者に対して批判的な会社は多いと聞きます。
過去に退職した社員を悪くいったり、「辞めない方よかったのに」とか「うまくいかない」などの話を周りの社員に広めようとします。
なぜそんな根拠のない事を社員に言うのでしょうか?
会社は社員にやめられると自分たちが困るので予防線を張っているのです。
退職者が出ると会社に損失があるのは確かです。
- 教育に費やした人材投資が無駄になる。
- 引き継ぎで仕事が増える。配置換えが必要になる場合もある。
- 現状の人員でおぎなえない場合、求人活動の費用、労力が必要。
- 担当が変わる事で業績が下がる可能性も考えられる。
でもこれは退職者の責任ではありません。
どんな会社でも退職者は出ます。
そうなっても困らないように備えておくのは会社の責任です。
退職者を出したくないのであれば、社員が不満なく働けるように環境の見直しを行う、労働条件を良くする、などに勤めるのが本当の退職者を減らすための対策なのです。
転職を行うべき&いつでも転職ができる準備を
退職届を決断した瞬間から会社への依存心がなくなる
「転職に踏み出せない」「転職する決心がつかない」そういう状態が長く続く人は、無意識に会社に依存しているのかもしれませんね。
会社から与えられる仕事や給料に、たよった生きかたをしていると会社への依存度が高くなります。
誰のために働いているのかを考えてみましょう。会社のためですか?
でも本当は自分のために働いて、それが結果として会社にためになるというのが望ましい働き方ですよね。
転職を決断する事は仕事に対する考え方を明確にする事でもあります。
新しい会社で働くイメージを持ち、仕事に前向きに向かう決意をする事になるからです。
転職活動を開始して現実的に退職を決断すると、会社や仕事の見え方が変わってきます。
今まで嫌なことばかり目についたのが、良い面に気づいたりします。
これは社会人になって親への依存心がなくなった時の心境に似ていると思います。
会社への依存心がなくなって、自分の生活や仕事を客観的みられるようになったという事です。
やる後悔とやらない後悔
「やらずに後悔するよりもやって後悔した方が良い」こんな言葉がありますが、心理学の実験でもその通りの結果になったそうです。
大学受験を例に考えてみましょう。
A「受からないと思って受験しなかった」
B「受からないと思ったが受験した。結果は不合格だった」
どちらも合格できなかったのは同じですが、Aの場合「受かったかもしれない」という別の後悔を抱きます。
一方Bは不合格でしたが自分で決めて行動した事で、結果に納得でき、受け入れやすくなるそうです。
この実験から得られた結論は、どんな事でも行動しなければ結論がわからないまま終わってしまうので、より後悔をしやすく、行動すれば自分で決めた事なので結果が悪くても後悔が少ない、という事です。
そうはいっても転職は人生に関わる事なので、後悔のないようにしなくてはいけません。
慎重に吟味に吟味を重ねて進めなくてはいけません。
ただ転職に目を向けずに年数を重ねると「もしあの時に転職してたら・・・」というような後悔を背負う事になるかもしれません。
まとめ
今回は実際に転職した人の割合や、転職が「悪」「逃げ」と言われることについて考察してみました。
この記事を読めば「悪」「逃げ」ではないとわかってもらえたと思います。
今転職で悩んでいる方の力になれば幸いです。
もし少しでも不安が減って、転職に向き合う勇気が持てたら積極的に転職サイトなどて情報を集めてください。
転職のリスクを減らすためには情報が何よりも大切ですし、後悔しない転職につながります。
より多くの情報を収集し慎重に転職活動を進めればすれば、きっと転職してよかったと思える未来につながるはずです。