最近ではストレスやメンタルヘルスなど、心の健康についての話題をよく耳にするようになりました。
数年前に起きた有名企業の過労自殺問題に端を発して、サラリーマンの心の病気への注目が高まったからだと思います。
実際にうつ病などの心の不調で休職、退職を余儀なくされる人も多いと聞きます。
今回はうつ病で転職活動をする際に、応募先の会社に病気を隠すべきか、また会社にうつ病を知られた場合のリスク、転職エージェントにはどう接するべきか、などを考察していきます。
今回の記事が心の病気から転職活動をしている方にとって、少しでも約立つ事を願っています。
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Contents
転職の面接では、うつ病は隠すべきか?
結論から言ってしまうと、面接ではうつ病を隠した方がいいと思います。
メンタル系の病歴がある人に寛容な企業が少ない上に、昨今の社会状況からそういう人の入社を過敏に避けようとする企業が増えている現実があります。
あなたが面接でうつ病歴を告げれば、90%以上の確率で不採用になるでしょう。
面接の時に問題になる病歴や健康状態は、入社後に業務を行う上で支障になるものだけで、その時点で支障がないと思えば話す必要はありません。
仮に面接で病歴に話が及んでも、個人情報保護の観点から、企業側が病名を聞く事も本来はできません。
ただ面接官がその事を知らなかったり、知っていても「答えたくなければ、答えなくても構いません」と注釈をつけた上で、聞いてくる事もあります。
この場合は答えなかったり、曖昧な態度を取っていると、採用の確率が大幅に下がりますが、嘘はつかない方が良いと思います。
うつ病歴を言わないのは何も問題ないのですが、嘘をつくと後でバレた場合に非常に不利になってしまいます。
状況によっては解雇につながりますし、最悪の場合、損害賠償を求められるケースもあるようです。
正直に話して仮に不採用になったら「縁がなかった」とあきらめて、次の応募に向けて気持ちを切り替える事をおすすめします。
転職で、うつ病がバレたときは解雇される?
こちらも結論から言うと、解雇される事はまずありません。
前章でお話したように、面接時にうつ病歴を話さなくても何も問題ありませんし、履歴書、業務経歴書にうつ病について書かなくても経歴詐称にはあたりません。
経歴詐称で解雇の対象になるのは、入社時に業務に支障がある事を偽って入社した場合に限られます。
過去のうつ病歴が業務遂行に直接、重大な支障があると普通は考えませんから、経歴詐称にはならないのです。
会社側もこの事はよく理解しているので、入社後にうつ病歴があると知られたとしても、それを理由に解雇しようとはまず考えないはずです。
ただうつ病歴が会社にバレたからといって、すぐに解雇とはならないのですが、リスクがないわけではありません。
うつ病は再発率の高い病気です。
上司や会社の考え方によりますが、責任のある仕事は回されない、場合によっては移動させられる、などは考えられます。
会社としても、あなたのうつ病が再発して長期休職した場合などを想定して、事前の対策を判断しますから、仕事を変えられる可能性は低くはないでしょう。
また上司や同僚があなたを見る目や態度が変わってしまう事も考えられます。
現在の業務に支障がなくても、隠して入社したという事にネガティブな印象を持つ人は少なからずいると思います。
そういった感情が人間関係に悪い影響を与え、仕事がやりにくくなる事も十分あり得るでしょうね。
ここまでは転職先でうつ病が再発せず、通常の業務を行っている状態で、うつ病歴を知られた場合について考えてみました。
そうではなくて転職先でうつ病が再発して、病歴がバレた、という場合、特にそれで会社に損失がでたとか休職した、などとなると状況は変わってきます。
この場合でも、うつ病歴が会社の解雇権の明確な根拠とは言い切れないので、いきなり解雇を告げられる事は少ないのですが、自主退職を促される可能性は高いです。
実際こうなってしまうと、今まで通り会社で働き続けるのは、むずかしいかもしれませんね。
無理をすると病状が悪化する可能性もあります。
こう考えてみると、うつ病歴がバレる、バレないより、うつ病を再発させない事が一番大切だと思います。
うつ病の退職理由の書き方は?ポジティブ転換させる方法は?

転職時の履歴書、職務経歴書や面接での会話は、前向きな内容だけにして、ネガティヴな内容は避けるのが基本です。
ですから前職をうつ病で退職したとしても、転職理由としては
- 今までと違う職場、環境で自分の視野を広げたい
- 前職以上のスキルアップを目指すため
- 新しい仕事にチャレンジして経験をつみたい
など自分の状況と、応募先の会社に合わせた、ポジティブな理由を考えてください。
面接では退職理由について、具体的な質問もされるはずです。
面接官としても、なぜ会社を辞めたのかを把握したいはずですからね。
うつ病のことは言わないにしても、うつ病に至った経緯(人間関係や過重労働など)が、間接的な退職理由になると思います。
こういった話は、どうしてもネガティヴな方向になりやすいかもしれません。
でもネガティヴな話の中にも、つらい状況から抜け出すための努力や、転職先で頑張りたい気持ちなど、前向きな思いを伝える事もできるはずですよね。
この時に覚えておいて欲しいのは、本心で話すということです。
面接官も会社で働く大変さは、十分に理解しています。
ネガティヴな話題を避けるために、当たり障りのない話をしても、本心からの言葉でなければ、説得力もないし、面接官にも見抜かれてしまいます。
ネガティヴな内容も本心で話し、その中にも前向きな姿勢を見せる事で、気持ちが伝わりやすいし、いい印象につながると思います。
面接のような場でこそ、本心で話すことがあなたの言葉に説得力を持たせるのです。
うつ病の話をしない事は、法律的にも道義上も何ら問題ありませんから、後ろめたく思う必要はありません。
面接では自分の将来と転職先での仕事に、どれだけ前向きな気持ちを持って話せるかが大切だと思います。
うつ病の退職は言えない…転職後に書類で隠せないのか?
うつ病を隠してうまく転職先に入社したら、何かのきっかけでうつ病を知られるのではと、心配に思う人もいると思います。
特に転職直後は、事務処理的に前の会社から転職先へ提出する書類もありますから、そこからバレないかが気になりますよね。
そのような書類は「源泉徴収表」「雇用保険被保険者証」「年金手帳」などですが、現実的には、ここからうつ病がバレることはまずありません。
ただ一点注意する必要があるのが、あなたが前に会社で休職した期間がある場合です。
休職期間が非常に短い、またはその間給料が全額支払われていれば別ですが、ほとんどの場合、源泉徴収票などから前職での休職は知られてしまいます。
仮に転職先に休職期間がある事を知られて、理由を聞かれたとしても、うつ病で休職したと言ってはいけません。
「親の介護のため」というような、不可抗力な理由にしてください。
休職の理由をいつわるのは、プライバシー保護の観点からあなたに与えられた正当な権利で、詐称行為には当たりません。
誰でも人に知られたくないことの1つや2つはあるものです。
あなたが現在、業務を行う上で体調に問題がなければ、過去の休職理由について正直に話す義務はないということです。
これは面接時に質問されても同じことで、本当の理由を話す義務はありません。
ですがそうすると面接の時に嘘をつく事になりますね。
誰でも嘘はつきたくないでしょうし、態度に出てしまう人もいると思います。
本当のことを言えば採用の確率は下がると思いますが、現在の体調が業務に支障がないことを前提に、うつ病で休職したことを素直に話す、という選択肢もあるかもしれません。
転職エージェントには、うつ病を言うべき?
転職活動に対して、転職エージェントはとても有効です。
転職のエキスパートですから、転職のノウハウ、求人案件の把握量など、個人の転職活動とは比較にならないほどの情報を持っています。
これはメンタル系の病歴がある人にも当てはまるので、転職活動を始める時は、ぜひ転職エージェントの利用を考えるべきです。
その時にうつ病歴を伝えるべきかは、むずかしい問題ですが、正直に話して転職先を探してもらうのが良いと思います。
まず転職エージェントにうつ病を隠して、転職先を探してもらったとします。
当然転職エージェントはあなたを完全な健常者として、希望に沿う職種、条件に最もマッチした会社を選んでくれるでしょう。
転職エージェントが選んだ会社であれば、入社に至る可能性も低くはないはずです。
ただこのような転職先というのは働いてみると、想像以上に肉体的、精神的に負担が大きい事が往々にしてあるものです。
うつ病を再発するリスクが最も高いと言えるでしょう。
次は転職エージェントにうつ病を話した場合です。
これは転職エージェントの会社や担当者によって意見が分かれるのですが、転職先にうつ病を隠すことを勧める人と、隠さないことを勧める人がいます。
隠さないで転職活動を進めたいと考える人は、転職後の再発を一番心配していると考えられますね。
確かにうつ病をオープンにして転職がうまくいけば、転職先はうつ病に理解のある会社なので、再発のリスクは最小限になるでしょう。
しかしうつ病をオープンにすると、採用の確率はものすごく下がってしまうし、希望の職種では面接まで行ける会社がないかもしれません。
結果として転職可能な職種、会社の幅が相当に狭まってしまいます。
ではうつ病を隠しての転職活動をすすめる人はどうでしょう。
あなたの体調の事も気遣った上で、最も有利な転職先を探してくれるといえるでしょう。
転職に必要な書類の作成や面接についても、最良のアドバイスをしてくれると思います。
転職エージェントの多くは成功報酬、つまり応募者が転職先に入社することで、求人した会社から収入を得るシステムです。
転職エージェントにとっては会社がクライアントだという事ですね。
クライアントに対して、うつ病を隠してまであなたの事を推薦するのは、あなたにも転職先にも、それが最良だと判断してのことでしょう。
このようにうつ病を隠しての転職活動をすすめるエージェントは、信頼できるといっていいのではないでしょうか。
信頼できるエージェントと出会うためにも、複数の転職エージェント会社に登録するのをおすすめします。
先程話しましたように、転職エージェントの登録は無料の会社が多いです。
複数の会社に登録することで、求人情報の幅も増えますし、複数のエージェントと話せば転職活動の進め方も客観的に考えられると思います。
最後に付け加えますと、転職エージェントや転職先にうつ病を隠す、隠さないは現在の回復具合や、再発のリスクをどう捉えるかによって変わってきます。
転職後のことも見据えて、十分に考慮した上で判断するようにしてください。
おわりに
いかがでしたでしょうか。
今回はメンタル系の不調を経験した人の転職活動について考察してみました。
厚生労働省の発表では、精神疾患で診療内科を受診する人が年々増え続けていて、特にうつ病や統合失調症などストレスが原因とされる病気が割合、増加率ともに高くなっています。
現代はストレス社会と言われてますから、心の健康には常々注意するべきということですね。
転職活動は誰にとっても大変なことです。
メンタル系の病気が理由で退職されたのであれば、なおさらだと思います。
でも一番大切なことは、心の健康を維持することです。
くれぐれも健康第一で転職活動を行っていただきたいと思います。